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あかり工房 吉野
坂本 尚世 INTERVIEW

木とともに在る、
あかり工房吉野が生まれた場所

古来より自然の神々が宿る場所として崇拝されてきた、奈良県吉野地方。どこまでも続く山並と流れゆく清らかな水とともに、人々の暮らしがありました。豊かな土壌や気候を生かし、約500年ものあいだ世代を超えて受け継がれてきた吉野林業。密植・多間伐・長伐期という独自の方法で、良質な吉野ヒノキと吉野杉を育んできました。人の手によって植えられ、長い年月をかけ大切に守り継ぎ、山から切り出された木は、原木市場や製材所が立ち並ぶ吉野川の中流、吉野町に集まります。建築材から割り箸まで様々な用途に加工され、日本全国へと届けられていく。吉野の地は今日まで、木と人とが共生してきた場所なのです。

吉野杉の写真

移り変わってゆく吉野への想い

「あかり工房吉野」坂本尚世は、そんな吉野でヒノキを専門に扱う製材所で生まれ育ちました。高校・短大・就職は地元ではなく大阪へ。外に出ることによって、今までと違った視点で吉野の良さを感じ、吉野に対する思いは段々と強くなっていきました。
やがて家業の影響もあり、せっかくなら幼い頃から身近な存在だった吉野の木の特徴を生かした仕事ができないか?と考え始めるように。当時、国産木材の売れ行きが悪くなり、吉野の良質な木の価値がどんどん下がり始めていたこともあり、吉野の木材の価値をアピール出来るような仕事を探すため、インテリアデザインの学校に通い始めました。

奈良県吉野の地図

心を癒すあかりで安らぎの時間と健やかな生活を

インテリアについて学んでいく中で、格好いいだけではない心地いいインテリアとは何なのか迷っていた頃、出会った言葉が「ライトセラピー」でした。「ライトセラピー」とは、あかりで安らぎの時間を過ごし、心を癒すというもの。
人間の身体は、太陽の動きに関係したサーガディアンリズム(生体リズム)を持ち、明るくなると活動的に、暗くなると静的に変化します。夕日が沈む頃のような、橙色のほの暗く低い位置からの光を浴びると人はリラックス出来る。しかし、明るい蛍光灯の下で夜の時間を過ごし、眠りにつく直前までスマホやPCから青白い光を浴びていると、脳は昼間だと勘違いをし

てサーガディアンリズム(生体リズム)は乱れてしまいます。そして睡眠不足やストレスなど、心身ともに様々な症状があらわれてしまうのです。
眠る数時間前、夕日色のあかりを灯すことで脳はリラックスし、サーガディアンリズム(生体リズム)は静の状態へと自然に導かれます。安らぎの時間で心が癒され、質の高い睡眠が取れることによって身体も健康になる。母が病気を患っていたこともあり、日々の生活の中で健やかな生活を過ごすための手段を、手軽に取り入れることが出来る「ライトセラピー」との出会いは、あかり作りを始める大きなきっかけとなりました。

インテリアについて学んでいく中で、格好いいだけではない心地いいインテリアとは何なのか迷っていた頃、出会った言葉が「ライトセラピー」でした。「ライトセラピー」とは、あかりで安らぎの時間を過ごし、心を癒すというもの。
人間の身体は、太陽の動きに関係したサーガディアンリズム(生体リズム)を持ち、明るくなると活動的に、暗くなると静的に変化します。夕日が沈む頃のような、橙色のほの暗く低い位置からの光を浴びると人はリラックス出来る。しかし、明るい蛍光灯の下で夜の時間を過ごし、眠りにつく直前までスマホやPCから青白い光を浴びていると、脳は昼間だと勘違いをしてサーガディアンリズム(生体リズム)は乱れてしまいます。そして睡眠不足やストレスなど、心身ともに様々な症状があらわれてしまうのです。
眠る数時間前、夕日色のあかりを灯すことで脳はリラックスし、サーガディアンリズム(生体リズム)は静の状態へと自然に導かれます。安らぎの時間で心が癒され、質の高い睡眠が取れることによって身体も健康になる。母が病気を患っていたこともあり、日々の生活の中で健やかな生活を過ごすための手段を、手軽に取り入れることが出来る「ライトセラピー」との出会いは、あかり作りを始める大きなきっかけとなりました。

ライトセラピーの写真

吉野の素材を生かした
あかりを作ること

吉野の素材を使って癒しのあかりを作りたい。その思いはすぐに木と結びつきました。吉野ヒノキや吉野杉を薄く削り光を透過させると、灯るのは温かな夕日色のあかり。木目が織り成す不均質さや貼り重ねると浮かぶ陰影は、気持ちをリラックスさせる“揺らぎ”となりライトセラピーの効果も高めてくれます。また、吉野の伝統工芸である手漉き和紙は、風合いが非常に良くきめ細かで丈夫なため、あかり作りに適していました。吉野の素材を生かした理想のあかり作りを求めて、木を削ってみたり、貼り合わせてみたり、和紙を重ねてみたりと試行錯誤を繰り返す事約3年。独自の手法で現在のあかり作りへとたどり着きました。

ライトセラピーと伝統工芸の手漉き和紙

あかり作りのその先へ。吉野を五感で感じてもらいたい。

あかりを作り始めて約20年。「吉野の素材を使い、土地の魅力を伝えていきたい」という思いを胸に、あかり作りを続けてきました。遠く離れた場所にいても、あかりを灯せばすぐ側に吉野を感じることが出来る。けれど、もっと吉野という土地の魅力を、深く感じてもらえることが出来たなら。どこまでも続く雄大な山並、山肌一面を優しく染める桜、流れゆく川の深い

色、受け継がれてきた伝統技術、色濃く残る歴史の影、自然と共に暮らす人々。ひとりでも多くの人に実際にこの地を訪れてもらい、五感すべてで吉野を感じてもらいたい。吉野と人を結んでゆくひとつの場所として「あかり工房吉野」が在れるよう、これからも活動を続けていきます。

あかりを作り始めて約20年。「吉野の素材を使い、土地の魅力を伝えていきたい」という思いを胸に、あかり作りを続けてきました。遠く離れた場所にいても、あかりを灯せばすぐ側に吉野を感じることが出来る。けれど、もっと吉野という土地の魅力を、深く感じてもらえることが出来たなら。どこまでも続く雄大な山並、山肌一面を優しく染める桜、流れゆく川の深い色、受け継がれてきた伝統技術、色濃く残る歴史の影、自然と共に暮らす人々。ひとりでも多くの人に実際にこの地を訪れてもらい、五感すべてで吉野を感じてもらいたい。吉野と人を結んでゆくひとつの場所として「あかり工房吉野」が在れるよう、これからも活動を続けていきます。

プロフィール写真

坂本尚世

奈良県吉野町生まれ。
吉野ヒノキの製材所を営む環境で育つ。
大谷女子短期大学卒業後、建築デザイン設計事務所勤務。その後、インテリアデザインを勉強する中、照明塾 橋田裕司氏の「ライトテラピー」という考えに出会い、1998年より吉野ヒノキを薄くスライスし、張り重ねる独自の方法であかりを作り始める。

1998 インテリアデザイン学校卒業後、あかり作りを始める。
2004 アトリエ+常設展示ギャラリーショップ「あかり工房 吉野」オープン。関西を中心に個展やグループ展を多数開催(京都タカシマヤ、芦屋のショップ等)。
2012 フランス パリデザインウィーク「now! le off」に出展。
2015 イタリアミラノで開催された「NARA il Giappone delle Meraviglie」出展。
2017 LEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017 奈良県代表に選出される。